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次の日も、敬太郎は夕方になると、公園に出掛けました。昨日、綺麗にした筈なのに、もう幾つかのゴミが落ちています。ジュースの紙パック、ガムの包み紙、煙草の吸殻。
敬太郎は、そのゴミを一つずつ手で拾って、ビニール袋に入れていきます。拾いながら、時々手を止めて、辺りをキョロキョロと見回しています。
「今日も、来ないかなあ」
そう呟きながら、またゴミを拾い続けます。
最後のゴミを拾い終えた時
「おーい、敬太郎。ただいまあ」
公園の入口の方から、誰かが呼んでいます。敬太郎が振り向いてみると、パパがニコッと笑いながら、しゃがんで手を振っています。その手には小さな紙袋が揺れています。
「敬太郎、おみやげだぞ」
敬太郎は、タタタッと走り寄って、パパに飛びつきました。
「おかえりー」
「うわっ」
パパは受け止めるつもりでしたが、片手が紙袋で塞がってしまっていた所為もあって、敬太郎を抱いたまま、後ろに引っ繰り返ってしまいました。
「パパ、大丈夫?」
敬太郎が、上から覗き込むように聞くと
「敬太郎、重たくなったなあ。ほら、これ」
パパは、引っ繰り返ったまま、敬太郎の顔の前で紙袋を揺らしています。
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