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鯉のぼりが空を泳ぐ。
鯉のぼりは雲を食う。
鯉のぼりは お空で 風船を持った女の子に会う。
「お嬢さんこんにちは」
「鯉のぼりさんこんにちは」
女の子は鯉のぼりの背に乗りました。
「お嬢さんお空に何か用だったのかい?
」と鯉のぼり。
「いいえ」とお嬢さん。「風船が何か用だったみたい。」
「良い風船だな」
赤い風船を見て鯉のぼりが言いました。
「おばあちゃんからもらったの」
それから女の子は話し出す。
「おばあちゃんから風船をもらった時、私、ぷかりと浮いてしまったの。どうやら風船が私をドコカへ連れていきたかったみたいなの。」
「ほぅ、だが寒くなったらどうするんだい?」
鯉のぼりが訪ねました。
「風船を割っておばあちゃんの家に帰るわ」
「うまく帰れるかね。またお空に来ちまうんじゃないか?」
「あら、大丈夫よ。おばあちゃんの家には、干し草がたんまりあるの。私はその上にポンと落ちて、おばあちゃんのもとに帰るわ。」
「うまく行くと良いな」
「ええ、きっとうまく行くわ」
鯉のぼりと女の子、空をするりと泳いでく。
「鯉のぼりさんはどこへ行くの?」
「俺はあてもない旅人なのさ」
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