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「遠藤さん、他の人と話し合いもせずに、この館を壊そうとしたでしょ。アリスからしてみれば、遠藤さんはアリスの夢の世界を壊そうとしたわけだよね。だからアリスが、遠藤さんを追い出したんじゃないかな……」 ……ドクン。 「成る程……!うたちゃん、頭いいね。そういう考え方も出来る……ってことは、遠藤はやっぱり無事じゃないの……?」 佐々木は悲しそうに言った。 ドクン、ドクン……。 高木は、ある考えについて、懸命に頭を働かせていた。 自分は、ダイニングの部屋で遠藤が窓を割ろうとした時、確かに『遠藤は夢を壊すつもりだ』と感じた。 夢?今自分が居る世界は、夢ではないだろう?現実だろう? 何故あの時自分は、この世界を夢だと思ったんだ? それに、遠藤に対して、自分はどんなイメージを持ってた? 邪魔だと、全く思わなかったか? 「……大丈夫?」 無表情のまま、高木にそう声を掛けたのは、八木だった。 「八木さん……。ええ」 ……バレるわけにいかない。いや違う、自分で自覚するわけにいかない! 高木は、思い出した。 小学生の頃、夢を見ている時に、これが夢だと気付いたことが一度だけあった。 高木はその時幸せな夢を見ていた。優しい人達に囲まれ、美味しいものを食べていた。 でも夢だと分かったので、高木は、これじゃいけないと思った。 夢なら、怖い人を出そう。お化けを出そう。 自分のイメージが全てそのまま具現化してしまう。高木は何故か『そうしちゃいけない』と思うことばかり考えてしまう。 裸の女の人を出そう。クラスの女の子もみんな裸だ。 女の人達は、お化けに襲われる。 食べられてしまう。 ああ、ああ、ああ。 ……早く、この夢から覚めて……。 「……!!」 高木はギクリとした。 もし自分がアリスなら、どうなってしまうんだろう。 自分は……。15歳になった、自分は……。 「いや、ちょっと待ってな。ここは、ここに居る誰かの、夢の世界なんか?」 西沢が言った。苦笑いを浮かべている。
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