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一人残された部屋で俺は頭を抱えた。
緋色と話しているとたまにこういうコトになる。
一人で納得してどんどん先に進むから、結果的に俺は内容を理解してなかったり。
頼むからアドバイスなら分かりやすくしてくれ、というのは贅沢なんだろうな。
大丈夫って何が?
そもそも、『つんでれ』ってなんなんだよ?
ツンドラは気候だし、その親戚みたいなもんか?
いやいや、それと恋心になんの関係があるよ。
ねぇだろ。どう考えても。
「……くっそ、わっかんねぇ」
しばらく悩んでいたが、結局答えはでないまま楽屋を抜け出した。
まだ休憩時間は残っているし、気分転換にコーヒーでも飲もうと自販機を探す。
残念ながら、下の階にしかないようで階段を降りる。
「……んです」
「……は、……もな?」
半分を降り、踊場に足を踏み入れると微かに話し声が聞こえた。
囁くような小さな声でも間違えようのない愛しい声に、足を速める。
「美樹兄さん! からかわないで下さいっ!」
「あははっ、悪い悪い。でも好きだろ?」
あと数段で降りきるというとき聞こえてきた美樹の声に、思わず足が止まった。
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