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「あーっ! 睦がボクのとったぁぁ!」
「正確には潤兄さんのモノではなく、悠兄さんのでしょう? さっさと食べないからですよ」
潤の叫びに睦は淡々とそう言いきると、俺の最後に残っていた唐揚げも当然のように口の中に納めてしまった。
「またぁ! 最後の一個だったのにっ」
「だから、貴方のじゃないですってば。仕方ないでしょ?ぼくはまだまだ成長期なんです」
「これ以上デカくなってどうすんのさ! 可愛くないじゃん!」
「貴方に可愛くなんて言われたら自己嫌悪まっしぐらですよ」
「もう睦のバカっ!」
「もう、二人とも喧嘩しないの! 潤ちゃんには僕のあげるから。ね?」
小学生のような喧嘩を見てられなくなったのか、緋色が仲裁に入った。
なにごともなかったように弁当を食べる睦は、まぁいつも通り。
はい、あーん。
なんて言われて素直に口を開けたのに、頬張ってしまったら顔を背けてしまった潤も……まぁいつも通りなんだけど。
完全に拗ねてしまった潤は手強い。
でも睦との喧嘩が、終わって一安心だと緋色と苦笑を交わした。
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