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「末っ子のクセに態度悪ぅ」
「あれは美樹が悪いから、怒らないであげて?」
不機嫌丸出しで呟いた潤の髪を宥めるように撫で、緋色は美樹を振り返った。
叱るようなその視線に、美樹は困ったように笑う。
「んー。やりすぎた、かな?」
「かな? じゃないよ。可愛い末っ子で遊ばないの」
正直に言えば、まったく話しについていけてない。
こんな時は黙っているに限る。
認めたくないけど、KYな自覚はあるから。
「……わかったよ。しようがねぇな」
しばらく探るように緋色を見つめた美樹はふわふわの髪をかきあげて、腰を上げた。
や、何故わかる?
ソウルメイトに会話は必要ないとか?
「美樹どこいくの?」
「バンビちゃんの捜索。ついでにコレ」
「ふーん。お土産よろしく」
「はいはーい」
声をかけた潤にライターを掲げてみせた美樹は、クスクスと笑って出ていった。
「ま、まどろっこしいのは分かるんだけどね」
「……なにが?」
「はぁ……」
独り言のように呟いた緋色に首を傾げると、呆れたようなため息が返ってきた。
未だに拗ねている潤の肩をポンポンと叩いて笑いかける。
「潤ちゃん隣の部屋に行っててくれる? マッサージしてあげるから」
「マッサージ? やったぁ! はやく来てね」
嬉しそうに緋色を見た潤は、うははんと独特の笑い声を響かせながらドアへと消える。
それを見送った緋色は、俺に向き直った。
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