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「悠ってさ、睦のコト好きでしょ?」
「な、なんでソレ知って……」
「なんだ。自覚はあるんだね」
「へ?」
「いやね? 悠って鈍感だからさ、自分の気持ち自覚してないかと思って」
……どんだけお前のなかで俺の評価低いんだよ。
さすがに自分の気持ちくらいは分かる……じゃなくて!
「なんで分かった?」
「そりゃ見てたら分かるよ。僕を誰だと思ってるの?」
人間観察が得意な親友に隠し事は通用しないらしい。
「そんなに分かりやすいか?」
「まぁね? 睦以外のメンバーは気付いてるよ」
あの子も恋愛値低いから。
そう呟いた緋色の声は心配が滲んでいた。
「お前は反対、か?」
「バカ。親友の応援しないはずないでしょ!」
僅かによぎった不安が伝わったのか、緋色が背中を励ますように叩く。
少々、いやだいぶ力強く。
見掛けに反して逞しい身体を持つ親友の痛いくらいの励ましに、少し気が楽になった。
まぁ、ちょっと噎せたけど。
「僕から一つだけアドバイスね?」
「アドバイス?」
首を傾げると緋色はにっこりと笑った。
「睦はね、ツンデレなの!」
……は?
「つん、でれ?」
「そう! それをちゃんと踏まえておけば大丈夫だから!」
大丈夫だからって、なにが?
ってか、『つんでれ』って……なに?
混乱してポカンとしてる俺を見て緋色は満足そうに頷いた。
「じゃ、僕は潤ちゃんのとこ行ってくるね。ゆっくり考えてみて?」
「あ、うん。ありがと」
バイバイと手を振る親友に合わせて手を振ると、綺麗な笑みを残して緋色は扉を締めた。
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