あの河辺から  

2/4
前へ
/85ページ
次へ
暖かな春の日差しの中。 自転車で通るいつもの通学路。 ボクの家から高校までは自転車で約10分。 ボクの住んでいる街は決してビルが立ち並ぶ都会ではなくて、だけど田んぼが広がる田舎でもなくて、ど真ん中を川が流れるなんだか中途半端な街。 でもボクはこの街が結構好きだ。 中途半端なボクにお似合いだから。 それというのも中途半端な街に住むボクは、決してスポーツ万能な秀才ではなく、だけど運動音痴な万年赤点でもなく。 何をやっても平均点な高校2年の17才。 コレと言った趣味もなく、見た目も普通。 自分で言ってて笑えるくらい中途半端だな。 でもそんなボクにも、ひとつだけ特別があって。 川沿いの道。 舗装されきってないコンクリートの上を ボクが漕ぐママチャリはガタガタ文句を言いながら走る。 20分に1本の電車をつなぐ大して大きくもない鉄橋をくぐればほら… もうすぐ見えてくる。 砂利にしゃがみ込んで川を覗き込む女の子1名。 今日は白いワンピースに淡いピンクのカーディガン。 「サツキ」 名前を呼べば嬉しそうに目を細めたキミがボクをみる。
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加