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目を閉じれば
まるで
ついさっきのコトのように
今でも鮮明に思い出せる。
キミが声を失くした日。
キミは真夜中の公園に
ボクを呼び出した。
ボクはバカみたいに…泣いた。
『原因は?』
首を降ったキミ
『治るんだよな?』
俯いたキミ
『ボクはどうしたらいい?』
『ソ バ ニ イ テ』
泣き出したキミ…
━…
━……
━………
そして
今
「そろそろ行くな」
ひとしきり川面を眺めた後、ボクは言った。
立ち上がったボクを見上げて、微笑むサツキ。
唇がゆっくり動く。
『イ ッ テ ラ ッ シ ャ イ』
━その全てが愛おしくて。
照れ隠しにずいぶん低い位置にある頭をくしゃっと撫でながら
「いってきます」
そう言うと乱れた髪を指先で気にしながら、恥ずかしそうにキミは微笑った。
この笑顔のためなら
なんだってしようと思った。
中途半端なボクの
ただ一つ
特別なキミ
この笑顔をみる度
思い、想い焦がれるコトがある。
ボクは確かに
声があった昔から
声を失くした現在も
サツキが好きなんだ。
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