わたしのオト

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「まったく…タカ君も困ったね」 言いながらわたしは、微妙な苦笑が漏れるのを止められなかった。 タカ君はわたし達と小5からの付き合いで親友と悪友を兼任している。 すごく…なんていうのか…言葉は古いけど プレイボーイを地で行くコ。 「…なんでボクがタカのお守りをしなきゃなんないんだよ」 「ソウタは優しいからね」 「…別にそんなんじゃない」 ソウタの仏頂面がまるで小さい子みたいで可愛かった。 …本人に言ったら更に仏頂面が増すから黙ってるけどね。 今日、ソウタのクラスはタカ君ともう1人、ミヤモトさんという女の子が日直だったそうで。 ところが 「タカのやつ…何が『オレにはルミちゃんが待ってるんだ!!』だよ…」 彼はそう言ってHRが終わった教室から、先生よりも早く飛び出して行ったらしい。 相方が(文字通り飛ぶように)帰ってしまってオロオロするミヤモトさんを見かねたソウタが 『あのバカがごめん…ボクでよければ手伝うよ』 …というワケで。 わたしの携帯に 『ちょっと日直の 手伝いで遅くなる。 サツキのクラスは もう終わってるよね たぶんすぐ 追いつくと思うから 先に帰ってて ソウタ』 のメッセージが入ったのだった。  
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