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0.心の世界と独りの少女
──欠けているの。
──私には、空がないから。
──私という名の大地だけ。
──彼と言う名の空がないんだ
──普通なら見守って居てくれる筈なのに。
──上を見れば黒一色。あれはもはや空じゃないんだ。
──眼前に広がるのは、何もない殺風景な草原。
──どれほどの時が過ぎたのかな。
──寂しい。
──悲しい。
──すぐ近くにいる筈なのに、とても遠い。
──早く逢いたいよ。
「……早く、逢いたいなぁ……」
地に着きそうな程長い黒髪を揺らし、少女は1人、誰もいない世界で孤独に呟く。
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