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「あんたね、私たちが謝罪を求めてるとでも思ったわけ?」
「え……だって俺は」
「だっても何もねーよ零。俺らはよ、ただお前を知りたいだけなんだ」
「灰夜……」
「言っただろ。俺は味方だって。俺らを襲ったのは何かしら理由があると踏んでたし、お前を攻める気はねーよ」
前にも言ってくれた心にグッとくるその言葉。
アリスと燐条以外が微笑みを見せると言うことは、他の三人も同じ気持ちらしい。
「……まぁ、言いたくない事なら無理には聞かねーよ。姫崎もいいだろ?」
「…………ふん」
「……悪い」
バカで、変態な灰夜の唯一の良いところ。
持つべきは友、って事か。
どうやら試合前のいざこざもなかったことになってるみたいだし。
灰夜の事だ、結果オーライとでも思ってんだろうな。
「オイ、能無し」
灰夜との会話を終えたのを見計らってか、話しかけてくるのは意外にも燐条。チッ。
「……ンだよ、ニワトリ野郎」
「あァ!?」
「おォコラ!」
再び掴み合いを始める俺達に、灰夜と斬桜が割って入った。
「お前らどんだけ仲悪いんだよ!」
〝どーどー〟
「退けッ! 此処で決着つけてやるよ燐条!!」
思いっきり挑発してやった。
あのトサカ引き抜いてやらねーと気が済まねぇ!
「……………………」
どうせ燐条もそのつもりだろうと思って言った訳だが、意外にも斬桜への抵抗を止める燐条。
僅かに驚いた顔。
「……なに言ってんだ、テメェは」
「は…………?」
大人しくなる燐条に対し、俺も灰夜への抵抗を止める。
……なんなんだ?
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