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「とにかく、もう別れたいの。理由なんて言いたくないわ」
彼女は変わらぬ調子で淡々と喋り始めたが、僕は異変を感じとっていた。
1年半も付き合っているのだ。彼女がウソをついていることぐらいわかる。
ただ、その「秘密」が僕にとってどういう意味を持つのかは、わからない。
「何を隠しているのさ」
考えていてもしょうがない。単刀直入に彼女に問いかけると、電話が突然切れた。
あわててもう一度かけなおす。
「おかけになった電話は、現在電波の届かない場所に……」
出ない。電源を切られたのか。
「くそっ」
このままわけのわからないままでバイバイなんて、とても無理だ。
僕は携帯電話と車のキーだけ手にとり、彼女の家へと走りだした。
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