覚と人間

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やはり地底は涼しい、地底には太陽が無い為年中その気候、気温は変わらない。変わる時があるとすればペットの烏が暴れる時位のものだろう。そう言えば地上は今は夏だったな、とさとりは思う。そんな事を考えて涼しい洞窟を飛んで下っていくと見知った妖怪がいた。 「……そうめんでも食べたくなりますね。貴女の出す糸の様に細いそうめんを……」 「もう地底にお帰りなの、さとり。えらく早かったわね……その背中の人間は?もしかして夕飯?」 この物騒な事を言う彼女は土蜘蛛の黒谷ヤマメ。この洞窟を縄張りとし自身の作り出す糸に掛かった獲物を捕食する。彼女の能力は病気だの感染症だのを操るものだ。そのように周りから好まれない能力を持つ者達がこの先にある地獄……地底を永住の地としている。 「食べるつもりはありませんよヤマメ。この人は空から降ってきました。服装から見るに外来人のようですが」 外来人とは幻想郷に存在する結界を越えてやってきた外の世界の人間の通称だ。外の世界の物資などはよく幻想郷にやってくるが人間のやってくるケースは珍しいのだ。それ故にさとりのように気紛れで助ける妖怪に出会えて本当にラッキーなのだ。アンラッキーなら妖怪の事は一切知らない外来人はなす術もなく食べられて生涯の終わりを迎えてしまうのだから。
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