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死人の顔
鬼の仲間が言ってた。
亡くなったお父さんは、今どんな顔で自分をみているのだろうって
鬼は少しだけ魂を見ることが出来る。
今まで見てきた中で生き霊が1番怖かった。
次いで鬼。
次いで怨みを抱いた顔。
でもね、至極普通に臨終を迎えた魂はいつも穏やかだよ。
この世での修業を終え、また魂の国に帰れるのだから。
だから生きている人間の業(ごう)で縛ってはいけない。
自分が寂しいから行かないでとか、辛いから思い続けるとかしちゃ駄目。
その念(思い)が重い鎖に変わり魂をこの世に縛り付けてしまう。
縛り付けられた魂は苦しくて寒くて痛くて顔がだんだん歪んで行くんだ。
魂と言う存在にとって現世は非常に劣悪な環境なんだ。
僕らで言うところの汚染された大気と汚染された水。放たれる腐食臭と光の無い寒い暗闇…。
大袈裟?
いや…。
魂にしてみればこのくらいでも足りないかもね。
だからこそ快く送り出してあげなくてはいけない。
愛おしい人を苦しめてはいけない。
現世から魂の世界へと旅立ち、魂の世界から心で君達を見守っている。
目はあっても無いに等しい。
物事を目で見ることは無くなるから。
だから仏像はいつも目を閉じていたり半目だったりするのかもね。
僕には詳しいことは解らない。
聖職者ではないから。
でもね、僕も目や耳で理解するのではなくもう一つの感覚で感じるから何となく解る。
死人の顔が怖いのは怨みを感じるからだよ
例えば生きている人間が非常に怒った顔をしていたとして、それを見て恐怖を感じないかい?
それと同じ。
得に魂というものは、目で見える訳ではなく、心の目で見るものだから抱く恐怖心によっていくらでも怖く見えてしまうのだよ。
心霊番組の再現VTRでよく怖い幽霊が出て来るよね?
僕はいつも大袈裟だなぁと思って見ている。
けれど、見えた本人にはそう見えたのかもしれないね。
だって心霊スポットなる場所にフザケに行くんだもの。
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