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「お、速かったな。新記録じゃね?」
それから数十分、電話の相手は車を飛ばして現れた。
「そんな事より副長!総司は、総司はどこですか!?」
「これ」
土方の指の先を辿ると、そこには少女がいた。
男の剣幕に引いているようで、気持ち土方の影に隠れるようにいた。
「……どこですか?」
「だから、これが正真正銘俺達の知っている沖田総司だ」
土方は奏のを男の前に押し出す。
「だから、総司じゃないって言ってんでしょーが!てか、これって言うな!」
奏と土方のやり取りを見ていた男が口を開く。
「やっぱり総司じゃないですよ。だって総司ならボケですもん。ツッコミなんて出来ませんて」
「どんな理由だぁ!!」
奏は思わずツッコんだ。
「まあ、気を取り直して…コイツは斎藤五郎。俺達は一って呼んでるけどな」
もちろん奏は知っている。
土方と一緒にテレビカメラの前に現れる事が多い。
「で、コイツが……」
「沖田奏です!総司じゃありませんから!」
沖田総司などと紹介される前に、名前を強調しながら自己紹介する。
「記憶がないから、とりあえず本部に連れて行こうと思ってな」
そうですか。と言うと斎藤は車に乗る。
「とりあえず乗ってください。遅刻すると山南さんのお説教ですよ」
これまでの興奮が嘘のような冷めた口調で土方を促す。
「悪いな」
土方は奏に車に乗るよう促す。
これから自分はどうなるのだろうと一抹の不安を感じながら、奏は車に乗り込んだ。
三人はこうして警視庁へと向かったのだった。
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