4章 土方という男

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『土方さ~ん、早く仕留めてくださいよぉ』 箒の総司では浪士達を消滅させる事は出来ない。 総司の言葉に、ボーッと見ていた土方は我に返る。 そして、すぐさま浪士達を斬り伏せた。 「総司…思い出したのか?」 辺りは静まり返り、土方の声が響く。 『いいえ、思い出してません』 奏の顔でニコリと笑う。 だが、土方には総司の笑顔に見えた。 『俺が女神様の頼みを断ったのは知ってますね?』 「あぁ…」 『てめぇは一生そこで寝てろっ!!という感じで、俺の人格は奏の意識の奥深くで眠らされてたワケですよ』 つまり、奏は二重人格だった。 眠っていた総司は、さっき奏が斬られそうになった時に目覚めたのだと言う。 『これも女神様の筋書き通りなんでしょうけどね。ムカつく』 そこへ、遠くから土方を呼ぶ声がする。 「副長ぉ~!?」 『ふぁぁぁ、それじゃあ、俺そろそろ寝ますね』 欠伸をして、そんな事を言い出す総司。 「え?ちょ、ちょっと待て!」 『奏の事、頼みます』 土方の言葉は聞かず、言いたい事だけ言うと、総司は目を閉じる。 奏の体はグラリと傾き、土方は慌てて受け止めた。
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