入隊

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「おはよう」 近藤がにこやかに部屋へと入り、後ろから奏が続く。 「あ、おはようございます……こ、んどう…さん?」 近藤に気づいて、永倉と原田が挨拶を返す。 しかし永倉は近藤の後ろにいる奏を見て、動きを止める。 「近藤さん、その子誰ですか?」 原田も奏に気づいて、気安く声をかける。 「今日から壬生狼組に入った沖田奏さんだ」 近藤が簡単に奏を紹介する。 「あぁ、総司か!って事は昨日副長と一緒にいた子か」 原田は奏の顔を覗き込む。 その遠慮のない視線に怯み、奏は近藤の影に隠れる。 しかし原田は気にする事なく、永倉を振り返る。 「おい、新八。この子さっき話してた副長の彼女だぜ」 原田が永倉に話し掛けるが、反応がない。 永倉はジッと奏を見続けている。 「新八?」 その異様な雰囲気に、全員の視線が永倉に集まる。 「……あの、私の顔に何か付いてますか?」 永倉の視線に耐え兼ねて、奏が声をかける。 「あ、いや、そんな事ない」 永倉は慌てて首を振る。 「……えっと、昨日いなかったのは」 ここにいる人間で、昨日いなかったのはとメンバーの顔を見る。 「こっちが二番隊隊長の永倉新一。私達は新八と呼んでいるんだがね」 そう言って近藤は永倉を紹介する。 「で、こちらが十番隊隊長の原田聡之助。私達は左之助と呼んでいる」 と、今度は原田を紹介する。 「永倉さんと原田さんですね。よろしくお願いします」 ペコリと頭を下げる奏。 「新八、総司が慣れるまでは今まで通りお前が一番隊を指揮してくれ」 今まで一番隊隊長が不在だったため、二番隊隊長の永倉が一番隊も一緒に指揮していた。 「分かりました」 永倉が近藤と話している間に、奏は奥にいる土方に近づいた。
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