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中丸がベッドに腰掛けると、上田が話し出した。
『かめ。』
そう言われて俺は上田を見た。
『なに??』
『聖と何があった??』
そう言われて俺は上田から目を反らした。
『何も聞いてないのか??』
『うん。聖は何も言わない。』
上田は俺の顔を自分の方に向けて、俺の頬に手をあてた。
『痣になってる。』
『聖は、悪くない。』
『たとえそうだとしても、聖はやりすぎたって言ってたよ。』
『違う。』
俺は少し大きな声でそう言った。
上田も中丸も、少し驚いていた。
『分かってるんだ、俺が悪いって。』
『...。』
『言い過ぎだって、わかってた。でも、何かモヤモヤして。』
上田は俺の話を聞いて、頭を撫でてくれた。
『かめがそう思ってることは、聖は分かってるよ』
『....。』
『ただ、聖の寂しさにも気付いてあげてほしい。』
『...。』
上田は俺の顔を優しい眼差しで見ていた。
『一番、かめの側に居たのは聖だ。』
『...。』
『気持ちをわかってあげて。』
そう言われて俺は何も言えなかった。
それから俺は部屋に帰らずに、中丸の部屋で眠りについた。
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