11

9/14

393人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
- A 俺は先に庭を出て、食堂に向かった。 しばらくすると、聖とかずが食堂にやって来た。 かずは夕食を持って俺の隣に座った。 それから、聖とかずが仲良く話している姿を見て、俺は安心した。 夕食を食べ終わり部屋に戻ると、すぐにかずが部屋に戻ってきた。 『仁。』 かずはそう言って隣に座ってきた。 『かず。聖と仲直りしたんだな。』 そう言うとかずは頷いた。 『で、原因は??』 『原因は、中学の時なんだ。』 そう言われて俺は首を傾げた。 『中学の時から今まで、解決しようとしなかったのが、そもそもの原因。』 『そっか。』 そう言うとかずは正面を見た。 『田口ってやつが居るんだ。そいつは、聖が一番大切にしてる人で、ずっと恋してるんだ。』 『うん。』 『そいつ、聖に何も言わずに居なくなった。聖は必死に探してた。学校も休んで、ずっと。』 その話を聞いて俺は納得した。 かずがいくら聖に学校に来いと言っても、聖は全然来なかった。 『俺は田口が何処に居るか、知ってたんだ。』 『え??』 『田口は消えたんじゃなくて、病院に居たんだ。白血病で入院してて、ずっと治療を受けてた。何度も移植を受けて、今回再発はしてなかった。』 『じゃあ。』 『もう少し入院が必要だけど、大丈夫らしい。』 その言葉に、俺は改めて安心した。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

393人が本棚に入れています
本棚に追加