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俺は先に庭を出て、食堂に向かった。
しばらくすると、聖とかずが食堂にやって来た。
かずは夕食を持って俺の隣に座った。
それから、聖とかずが仲良く話している姿を見て、俺は安心した。
夕食を食べ終わり部屋に戻ると、すぐにかずが部屋に戻ってきた。
『仁。』
かずはそう言って隣に座ってきた。
『かず。聖と仲直りしたんだな。』
そう言うとかずは頷いた。
『で、原因は??』
『原因は、中学の時なんだ。』
そう言われて俺は首を傾げた。
『中学の時から今まで、解決しようとしなかったのが、そもそもの原因。』
『そっか。』
そう言うとかずは正面を見た。
『田口ってやつが居るんだ。そいつは、聖が一番大切にしてる人で、ずっと恋してるんだ。』
『うん。』
『そいつ、聖に何も言わずに居なくなった。聖は必死に探してた。学校も休んで、ずっと。』
その話を聞いて俺は納得した。
かずがいくら聖に学校に来いと言っても、聖は全然来なかった。
『俺は田口が何処に居るか、知ってたんだ。』
『え??』
『田口は消えたんじゃなくて、病院に居たんだ。白血病で入院してて、ずっと治療を受けてた。何度も移植を受けて、今回再発はしてなかった。』
『じゃあ。』
『もう少し入院が必要だけど、大丈夫らしい。』
その言葉に、俺は改めて安心した。
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