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そして俺は、考えた。
『でも、聖に言っても良かったんじゃね??』
そう言うとかずはこちらを見た。
『きっと、聖も言ってほしかったと思うし。』
『そうかな??』
そう言ってかめは前を見た。
『もし、八つ当たりしたらどうしよう。』
『え??』
『そのことで傷ついたらどうしよう。自分が思ってる以上に、心配や迷惑を掛けて、困らせたらどうしよう。もし、周りを泣かせて自分は死んだら。
そう思うと、言えない。』
『...。』
『特に好きな人には。』
そう言ったかずはすごく切なそうだった。
『でも、分かんないだろ。本当は、教えた方が良かったって考えるかもしれない。』
『わかるよ。この世で怖いのは、人を失うことだから。』
かずの言葉に、俺は何も言えなかった。
それから俺は、かずの隣にいるだけで、話はしなかった。
『...仁。』
『ん??』
『一緒に行かない??』
そう言われて俺はかずを見た。
『何処に??』
『田口の所。』
『え??』
『聖を連れていこうと思って。それに、仁にも田口を見せたいし。』
そう言ってかずは首を傾げた。
『...いいよ。』
俺はそう答えた。
それから俺らはもう少し話をして、それぞれ眠りについた。
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