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そしてノックをして、中から声が聞こえて、ドアを開けた。 『..え...聖..??』 『...じゅんの..。』 そう言って聖は近づいていった。 『ばか野郎。』 そう言って聖は抱き着いた。 『俺らも中入ろう。』 そう言われて俺はかずの後をついていった。 『かめも来てくれたんだ。』 そう言ってこちらを見た。 『あなたは??』 そう言われて俺は口を開いた。 『赤西仁です。』 『そっか。じゃあ、かめがいつも話してくれた人は、この人なんだ。』 そう言ってかずを見た後に、俺を見た。 『田口淳之介です。俺のことは、』 『田口でいいよ。』 言葉を遮って、かずがそう言った。 『まぁ、いいよ。』 そう言ってニコッと笑った。 それから、田口は聖を見た。 『聖。今まで黙ってて、ごめん。』 『ホントだよ。勘違いして、かめまで殴ったんだからな。』 そう言って聖は田口を睨んでいた。 すると田口はかずを見た。 『かめ、ありがとう。』 『いいえ。』 『昔からずっと、かめはキューピッドだよね。』 そう言うと聖もかずを見た。 『どういうこと??』 『初めて聖が好きだって想った時から、かめにはバレてたんだ。それからは、こうした方がいいとかって、アドバイスしてくれたんだ。』 『そうなの??』 『まぁ、な。』 かずは照れ臭そうに、返事をした。 『それにかめはここに来る度に、聖の話をしてくれるんだ。いつでも何でも話してくれた。だから今、会うのは久しぶりなのに、そんな気がしないんだ。』 『..じゅんの..。』 そう言って聖たちは互いに見つめ合った。 『仁、俺らは邪魔みたいだから、行こうか。』 『そうだな。』 そう言って俺らはドアへと向かった。 『ねぇ、赤西くん。』 田口に呼ばれて、俺は振り向いた。 『どうした??』 『かめのこと、離したらダメだよ。』 『え??』 俺はどういう意味か分からなかった。 『離したら、ダメだから。絶対に。』 田口の真剣な目に、俺は頷くしかなかった。 ふと横を見ると、かずは複雑そうな表情をしていた。 『かず??』 そう言うとかずは我に返り、俺を見た。 『行こうか。』 そう言われて俺らは病室を出た。
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