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- K
田口の病室を出て、俺らはバスに乗り先に寮に帰った。
帰った時には夕食の時間で、俺らは仲間内で食事をした。
食べ終わって俺らは部屋に戻った。
部屋に着いて、俺はベッドに座ると、仁も俺の隣に座った。
『ねぇ、かず。』
『ん??』
『聖と田口のキューピッドをやり続けて、今、幸せ??』
そう聞かれて俺は仁を見た。
『幸せだよ。田口も聖も、お互いに求めてたから。相手のことを。』
『そっか。』
そう言って仁は微笑んだ。
『ねぇ、かず。』
『なに??』
『俺、かずにずっと言いたかったことがある。』
そう言われて俺は首を傾げた。
『なに??』
『俺、かずがずっと好きなんだ。』
俺は仁の言葉に、固まってしまった。
『..何、言ってんの...。』
『俺はかずにずっと言いたかったんだ。自分の想いを伝えたかった。』
『...。』
俺は黙って立ち上がった。
『かず??』
俺は何も言わずに部屋を出た。
ドアを閉めて、俺は少し走るように庭へ向かった。
息が上がるのも気にせずにただ、ひたすらに。
庭に着いて、俺は膝から崩れた。
『..ハァ..ハァ..。』
俺は息をするのがやっとだった。
『..ダッセー..。』
そう言いながら俺は、横になった。
一向に整わない息に、俺は苛立っていた。
そして同時に涙が出た。
『..め..。』
遠退きそうな意識の中、誰かが俺を読んでいた。
けれど俺には認識できず、俺は目を瞑った。
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