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目を開けた時、自分の部屋ではないことに気付いた。 俺は体を起こそうとしたが、誰かに阻まれた。 俺はふとそっちを見つめると、上田だった。 『..上田..。』 俺はそう言って起き上がった。 『話して平気??』 そう言われて俺は頷いた。 『上田が、助けてくれたの??』 『トイレから出てきたら、かめが走るように庭に入るのを見て、焦って追いかけた。』 『..そっか..。』 そう言うと上田は側に座った。 『中丸、すごく心配してたよ。』 『...。』 『俺もすごく心配したし、焦った。』 上田は悲しい目をしていた。 『聖にはまだ、何も言ってない。』 『そう。』 『もちろん、赤西にも言ってない。』 『うん。』 そう言うと上田は俺の髪を撫でた。 『ねぇ、かめ。』 『ん??』 『今度は何処に行くの??』 そう言われて俺は上田を見た。 『いつもかめは赤西から逃げて、誰も居ない所に行きたがる。』 『...。』 『かめは何も言ってくれない。いつも、かめは自分の中で解決したがる。』 そう言われて俺は、ベッドから出て立ち上がった。 『上田。』 『ん??』 『詳しいことは、言えない。』 そう言って俺は上田を見た。 『でも、俺はここが俺の居場所だと思ってる。』 『なら、どうして休学届け出したんだよ。』 『...。』 『転入する前から、決めてたんだろ??』 『...。』 俺は何も言わずにドアへと歩いた。 『かめ。』 そう言われて俺は上田を見た。 『気にしなくていい。俺のことは、いいんだ。』 そう言って俺は部屋を出た。 そして自分の部屋に向かった。 中には仁と智久が居た。 俺は気にせずに、大きな旅行バッグに衣類を入れた。 『かめ。』 仁に呼ばれて俺は、手を止めずに口を開いた。 『これから、俺は留学する。』 『え??』 『しばらく会えない。』 『...。』 『元気でな。』 俺は詰め終わったバッグを持った。 そして振り向かず、俺は部屋を出た。 玄関に向かい、靴を履き俺は外に出た。 そして寮に見て、俺は目頭がジーンとなった。 『..帰ってきたいな..。』 そう言って俺は、涙が溢れた。 しばらくそうしてから、俺は歩き出した。
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