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空に太陽が昇り、俺は起き上がった。 このベッドに、そしてこの病院に来たのは、一週間前。 それから今まで、この病室で母さん以外に会った人は居ない。 毎日、ただ何となく過ごして、することもたいしてないままだった。 一日三食のご飯も、今まで以上に管理がされている。 朝食を食べて、俺は屋上に向かった。 空を見れば雲一つなく、太陽が眩しかった。 『...良い天気。』 俺はベンチに座った。 屋上に来る度に、俺は空を見上げる。 ここに居れば、何も考えないで過ごせる気がする。 『...。』 前を向き、俺は目を閉じた。 少し冷たい風が、俺を包んでいる。 目を開けようとした時、肩に何かが掛かり、咄嗟に後ろを見た。 『..田、口...。』 『やっぱり、かめだったんだ。』 田口はそう言って隣に座った。 『安心して。今日、聖は来ないから。』 そう言われて何も言えなかった。 『かめ。』 『..なに..。』 『いつから??』 俺は息をつき、口を開いた。 『...一週間前から。』 『そうなんだ。やっと覚悟が決まったんだ。』 そう言われて俺は田口を見た。 『田口、このことは...』 『わかってる。』 田口はニコッと笑った。 『言わないよ、今は。』 『....。』 『次は、俺が約束をする。』 田口にそう言われて、俺は固まった。 『あの日、聖に何も言わないでいてくれた。かめは約束を守ってくれた。だから、俺もあの日のかめと、同じ約束をする。』 『....。』 『今は誰にも言わない。けど、時期が来たらすべてを伝える。』 『....。』 『いいね??』 そう言われて俺は頷いた。 『そろそろ部屋に戻ろう??』 田口は立ち上がり、手を差し伸べてそう言った。 俺は手を取り、屋上を出た。
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