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俺は毎日、不安だった。
また、あの日々が来たんだと。
あの時も同じだった。
俺はかずに気持ちを打ち明けた次の日、かずは姿を消した。
今、あの時の俺と同じ気持ちだった。
そして、今日の新学期にむけて学校に行って、俺は知った。
かずは休学したと。
担任は理由は話さなかった。
俺はそれから寮に帰るまで、何をしてどうやって帰ってきたのか、よく分からなかった。
ふと気付いた時には部屋に居て、制服から部屋着に着替えていた。
『仁。』
そう呼んだのは、ぴぃ。
『なに。』
『飯はちゃんと食えよ??』
『ん。』
俺は起き上がり、ぴぃと一緒に食堂に向かった。
テーブルには、聖も中丸も上田も居て、亮チャンがおぼんを二つ持って座った。
『ほら。』
亮チャンは俺の前に一つ置いた。
『ありがとう。』
俺はそう言って、一口ずつゆっくりと食べた。
半分を食べて、俺は片付けた。
食堂を出ようとした時、腕を掴まれた。
『俺もお前の部屋に行く。』
そう言ったのは、聖だった。
それから俺らは真っ直ぐ、部屋に入った。
俺はベッドに寄り掛かり、聖は床に座った。
『...赤西。』
『ん??』
『かめは、お前が好きだ。』
そう言われて俺は聖を見た。
『赤西が伝えた時、かめは既にお前が好きだった。』
『...。』
『かめはずっと赤西が好きだったんだ。』
『...。』
聖は悲しい目をしていた。
『かめは、何も言わない。あの時だって、俺は必死に探した。』
『...。』
『諦めてるか??』
『...馬鹿を言うな。』
そう言うと聖は笑った。
『それはそうだよな。諦められるなら、あの時に諦めてるか。』
『..あぁ。』
俺は天井を見て、そう言った。
それから聖と少し話し、俺は一人になった。
電気を消し、ベッドに横になっても、寝れなかった。
『...。』
部屋が広く感じ、孤独を感じた。
『...かず...。』
部屋に響く声は、誰にも届かなかった。
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