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朝になり、またいつもの日々が始まった。 今日から新学期。 いよいよ三年になってしまった。 本当はかずも一緒に三年にあがるはずだった。 でも、周りにはかずはいない。 『仁、行こうぜ。』 ぴぃに言われて俺は歩き出した。 クラスは二年の時と一緒で、ぴぃと聖と俺は横一列に並んだ。 担任も一緒で、また長い話を聞いた。 始業式があり、その後はオリエンテーション。 それが終われば、下校。 玄関を出て、門の前に亮チャンが居るのを見つけた。 俺はゆっくりと亮チャンに近づいた。 『亮チャン。』 そう言うと亮チャンはこちらを見た。 『仁、遅いわ。』 『ずっと、待ってた??』 『当たり前やろ。』 そう言って亮チャンは歩き出した。 俺は亮チャンの後に続いて歩いた。 寮に着いて、着替えを済ませて椅子に座った。 亮チャンも部屋着に着替えて、部屋に来た。 『なぁ、仁。』 亮チャンは立ったままベッドに寄り掛かり、俺に話しかけてきた。 『ん??』 『...会いたいか??』 そう言って亮チャンが俺を見た。 『亀梨に会いたいか??』 『..亮チャン..。』 『ただ、待ってるだけでええのか??』 『待ってない。』 俺は亮チャンの顔を見ないまま、答えた。 『それじゃ、あの時のままやんか。』 『...。』 『仁はいつまで経っても、ガキやな。』 そう言われて俺は亮チャンを見た。 『黙って何もしないんは、情けないで。』 『...。』 『聖は毎日、学校終わりに色んな場所に探しに行っとる。休みの日も、毎日や。』 『...。』 『立ち上がらんと、掴めないんとちゃうか??』 亮チャンにそう言われて、俺は心が軽くなった気がした。 『そうだね。』 そう言って俺は立ち上がった。 『なんかお腹空いた。』 そう言うと亮チャンは笑った。 『ほな、食堂行こか。』 そう言われて俺は、亮チャンと一緒に食堂へと向かい、食事をした。
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