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病室に戻ると、母さんが待っていた。 『母さん、来てたんだ。』 「ついでよ。」 『そう。でも、あんまり無理しない方がいいんじゃない。』 「心配してくれてるの??」 そう言われて俺はベッドに入った。 『別に。』 そう言いながら、母さんが持ってきたであろう昼食を食べた。 『ってか、最近はどうなの??』 「何のこと??」 『とぼけんなよ。体調だよ。』 そう言って母さんを見た。 「珍しい。」 『俺だって、一応心配してるよ。』 俺がそう言うと母さんは、着替えを入れる手を止めて、俺を見た。 『何だよ。』 「和也の想像しているようなことはないわ。」 『本当かよ。』 「母さんは和也と違って、嘘はつかないから。」 そう言われて俺は何も言えなかった。 「図星で何も言えないでしょ??」 『まぁ。』 そう言って箸を置いた。 「もう食べないの??」 『母さん、食べてもいいよ。』 「まったく。」 そう言って母さんは片付けてくれた。 母さんが帰ってきて、母さんは荷物を持った。 『帰んの??』 「そうよ。」 『気をつけて帰れよ。』 「わかった。」 そう言うと母さんは何か思い出したような顔をした。 「そういえば昨日、聖くんが家に来たわよ。」 『まさか..。』 「言ってないわ。和也はきっと言ってほしくないと思って。」 『良かった。』 そう言うと母さんは真剣な目をした。 「すごく心配してたわ。泣きそうになりながら、居場所はしりませんかって。」 『....。』 「仁くんが、あの時のようになっているって伝えてほしいって言われたわ。」 そう言われて俺は、驚きすぎてベッドから落ちそうになった。 『..仁..。』 「今は、少し改善してきてるとも言ってたわ。」 そう言って母さんは病室を出ていった。 それからの時間は、すごく長く感じた。 頭の中では常に、仁のことや聖たちのことを考えてた。 けれど、今の俺には何も出来ないと分かっていた。 『はぁー。』 俺は息をついて、ベッドに横になった。
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