12

10/10

393人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
- K 田口から母さんが倒れたことを聞いたが、仁たちが居ることに俺は行くのをやめた。 それでも心配で、俺は病室でうろうろとしていた。 しばらくそうしていると、ドアが開いて田口が入ってきた。 『田口。』 『落ち着いて。』 そう言われて俺はベッドに座った。 『お母さん、大丈夫だよ。過労だって。』 『そっか。』 『赤西くん、あの様子だと凄く探してるよ。』 そう言われて俺はそっぽ向いた。 『かめ。』 『なんだよ。』 『詳しく日にちは決まってるの??』 そう言われて俺は頷いた。 『いつ??』 『3ヶ月後。』 『その前に、会いなよ。』 そう言われて俺は田口を見た。 『苦しいよ。好きな人を悲しませてるのに、気付いていても振り切って闘うのは。』 『...。』 『かめもわかってるだろ??』 そう言われて俺は頷いた。 『だったら、言いなさい。』 『...壁が高いよ。』 『どうして??』 『もしかしたら、死ぬかもしれない。』 『うん。』 『仁が心配だよ。』 そう言うと田口は俺の手を握った。 『大丈夫。かめのこと、赤西くんは本気だよ。だから、ちゃんと受け止めてくれる。』 『田口。』 『乗り越えられない壁はない。』 田口の強い眼差しに俺は頷いた。 それから田口も帰って、俺は一人で考えた。 そして俺は結論を出して、公衆電話から電話をかけた。 『もしもし、俺。話があるんだ。仁には内緒で。じゃあ、待ってる。夜遅くにごめんな、智。』 俺はそう言って電話を切った。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

393人が本棚に入れています
本棚に追加