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- K
田口から母さんが倒れたことを聞いたが、仁たちが居ることに俺は行くのをやめた。
それでも心配で、俺は病室でうろうろとしていた。
しばらくそうしていると、ドアが開いて田口が入ってきた。
『田口。』
『落ち着いて。』
そう言われて俺はベッドに座った。
『お母さん、大丈夫だよ。過労だって。』
『そっか。』
『赤西くん、あの様子だと凄く探してるよ。』
そう言われて俺はそっぽ向いた。
『かめ。』
『なんだよ。』
『詳しく日にちは決まってるの??』
そう言われて俺は頷いた。
『いつ??』
『3ヶ月後。』
『その前に、会いなよ。』
そう言われて俺は田口を見た。
『苦しいよ。好きな人を悲しませてるのに、気付いていても振り切って闘うのは。』
『...。』
『かめもわかってるだろ??』
そう言われて俺は頷いた。
『だったら、言いなさい。』
『...壁が高いよ。』
『どうして??』
『もしかしたら、死ぬかもしれない。』
『うん。』
『仁が心配だよ。』
そう言うと田口は俺の手を握った。
『大丈夫。かめのこと、赤西くんは本気だよ。だから、ちゃんと受け止めてくれる。』
『田口。』
『乗り越えられない壁はない。』
田口の強い眼差しに俺は頷いた。
それから田口も帰って、俺は一人で考えた。
そして俺は結論を出して、公衆電話から電話をかけた。
『もしもし、俺。話があるんだ。仁には内緒で。じゃあ、待ってる。夜遅くにごめんな、智。』
俺はそう言って電話を切った。
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