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聖たちが帰って、俺は一人で屋上に向かった。 風はほんのり暖かく、過ごしやすくなっていた。 太陽も見えて、晴れた空が輝いていた。 「和也くん。」 そう言われて振り向くと、昔からずっと担当してくれていた先生が立っていた。 『先生。』 「なんかスッキリしてるね。」 『まぁね。』 そう言うと先生は隣に座った。 「一日だけだからね。」 『わかってます。』 「次の日から、準備を始めるからね。」 そう言われて俺は先生を見た。 『じゃあ、頑張らないと。』 「そうだね。」 そう言って先生は立ち上がり、屋上を出ていった。 それからしばらくすると、肩を叩かれて振り向くと田口が居た。 『田口。どうしたの??』 そう聞くと田口は正面に立った。 『かめと話したくて。』 『そっか。』 そう言って俺は立ち上がった。 そして田口と二人で病室まで歩いて向かった。 中に入り、俺はベッドに座り、田口は近くの椅子に座った。 『田口が言ったの??』 『何が??』 『俺のこと。』 そう言うと田口は首を横に振った。 『聖は自分で気付いたんだ。』 『そっか。』 『ところで、かめ。何かあった??』 そう言われて俺は田口を見た。 『なんか変??』 『ううん。かめ、スッキリしてるから。』 そう言われて俺は朝のことを話した。 『じゃあ、赤西くんには言うんだ。』 『うん。』 『好きだから??』 『まぁ。』 そう言うと田口は微笑んだ。 『かめって、可愛いね。』 『は??』 『ってか、健気な人。』 『田口、うるさい。』 そう言うと田口は俺の手を握った。 『ちゃんと分かってくれるよ。かめが好きになった人だからね。』 『ありがとう、田口。』 それから俺たちは話をして、他愛もない時間を過ごした。
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