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目が覚めて隣を見つめると、かずがぐっすり眠っていて、夢じゃないんだと安心した。 『...。』 俺はそっとかずの髪に触れて撫でた。 かずの姿は愛しくて、俺は自然と口角が上がった。 『なに、ニヤニヤしてんだよ。』 そう言われて顔を上げると、ドアの前に聖が立っていた。 『居たんだ。』 『もうすぐ、起床の時間ですが。』 『わかってる。』 そう言って俺はベッドを出た。 すると服が引っ張られ、振り向くとかずがこちらを見ていた。 『おはよう。』 そう言われて俺はしゃがんだ。 『おはよう。』 『もう、朝なんだ。』 そう言ってかずは起き上がった。 『今日、帰るんだろ??』 『うん。』 『ごめんな、送りに行けなくて。』 そう言うとかずは俺の首に腕を回した。 『いいんだ。仁は、自分のやることを一生懸命やってくれたらそれで。』 『見舞いは、必ず行くから。』 『うん。』 そう言ってかずは離れた。 そして布団から出て立ち上がり、俺の手を握った。 そのまま部屋を出て、食堂に行くとみんな揃っていた。 『おはよう。』 かずが挨拶すると、聖たちがみんな笑顔になった。 『かめ、おはよう。』 みんなが口を揃えてそう言った。 それから食事をして、少しだけ話をして、かずが帰る時間になった。 『それじゃ、帰るね。』 玄関でそう言ったかずは、寂しそうだった。 みんなは俺たちに気を使って、食堂を出る時に挨拶を済ませていた。 『かず。』 そう呼んで俺はかずにキスをした。 『...仁。』 『愛してる。』 『...俺も。』 そう言ってかずは抱きついてきた。 『来てくれて、ありがとう。』 俺は心からそう言った。 それからしばらくそのままでいて、かずは笑顔で帰っていった。 『...俺も、頑張ろう。』 そう言って俺は、外に出た。
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