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朝、目が覚めて俺は時計を確認した。 静かに窓の外を見つめて、俺はベッドを起こした。 ただ、見つめることしか出来なくて、ずっと晴れた空を見ていた。 『かず。』 声が聞こえて、俺は顔を向けた。 『おはよう。』 『おはよう。』 仁はそう言って側に来た。 『今日は早いね。』 『まぁ、休日だし。』 『そっか。』 そう言うと仁はベッドの端に座った。 『手術まであと三時間だろ??』 『うん。』 『ずっと一緒に居ようと思って、早起きしたんだ。』 『ありがとう。』 そう言って俺は仁の手を握った。 それから俺たちはただ一緒に居た。 話すわけでもなく、何かするわけでもなく、ただ、手を取り合って二人で過ごした。 しばらくすると、ノックが聞こえて、看護師が入ってきた。 「亀梨サン、そろそろ。」 『はい。』 そう言って俺は着替えを済ませて、ストレッチャーに乗った。 移動するストレッチャーに、仁は俺の手を握りながらついてきてくれた。 手術室の手前に来た時、俺は仁の手を握り返した。 『行ってくるね。』 俺はは笑顔でそう言った。 仁も笑顔を返してくれて、そっと俺の唇にキスをした。 唇が離れ、俺は手の力を抜いた。 『待ってる。』 『うん。』 『行ってらっしゃい。』 『行ってきます。』 そう言って俺は、手術室の中に入っていった。
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