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かずが手術室の中に入ってから、1時間が経った。 俺は手を握って、祈った。 しばらくすると聖たちも来て、みんなで手術が終わるのを待った。 不安な気持ちが、表情や雰囲気から伝わってきた。 『大丈夫。』 俺がそう言うと聖がこちらを見た。 『かずは、必ず帰ってくる。』 『赤西。』 『信じて待ってれば、大丈夫だ。』 そう言って俺は聖に向かって、笑みを見せた。 それからはみんな、顔を上げてじっと手術室を見つめた。 三時間くらい経って、パチッと手術中のランプが消えた。 俺たちは立ち上がって、出てくるのを待った。 中からかずを乗せたストレッチャーが出てきて、医師も出てきた。 「手術は成功しました。」 『ありがとうございます。』 「後は、本人の頑張り次第です。傍に居てあげてください。」 そう言って医者は歩いていった。 俺たちは早足で病室に向かい、かずの側に行った。 中に入ると、看護師が一人と、機械をいっぱいつけたかずが居た。 「今日は目を覚まさないと思いますが、頑張りを誉めてあげてください。」 そう言って看護師は出ていった。 『顔がすっきりしてて、安心した。』 中丸はそう言って俺の肩に手を置いた。 『かめは、お前に側にいてほしいって願ってる。目が覚めたら、連絡ちょうだい。』 そう言って中丸は病室を出ていった。 すると同じように上田も、俺の肩に手を置いた。 『かめのこと、頼んだ。』 そう言って上田も病室を出て、聖はかめの頬に触れた。 そして俺の前で立ち止まった。 『目が覚めたら、教えて。』 『うん。』 『赤西、無理するなよ。』 そう言って聖は静かに病室を出ていった。 二人きりになって、俺は椅子を近くに置き、そこに座った。 『..かず。』 俺はかずの手を握り、声を掛けた。 『手術、無事に終わったぞ。』 そう言って俺はかずの髪を撫でた。 『手術、お疲れ様。よく頑張ったな。』 そう言って俺は笑った。 『ゆっくりでいい。戻ってくるまで、頑張ろうな。』 そう言って何度も髪を撫でた。
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