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今日もまた朝が来て、俺は目を開けた。
最近はいつも、昔の夢を見る。
かずと過ごした幼い頃の夢。
俺はいつも着替えながら、その夢を振り返っている。
あれから俺は、毎日とはいかないが、かずの所に通った。
数日経った今も、かずは目を覚ましていない。
授業が終わり、俺はいつものように、かずの所に向かい、かずの手を握った。
『..かず..。』
俺の呟きに、かずが答えることはない。
『今日は、かずに聞いてほしいことがあるんだ。』
俺はかずの手を自分の頬に当て、話し出した。
『最近、同じ夢を見るんだ。』
そう言って俺は、かずの頬を繋いでいない手で撫でた。
『幼い頃、かずが一緒につるんでくれた時の夢。』
そう言って俺は頬から髪に手を移動させた。
『かずはいつも俺の前に立っていたよな。ばあちゃんに迷惑掛けられないって言ったら、かずは内緒にしてくれたよな。』
返事は無いが、聞いてくれてると俺は感じた。
『怪我した時も、風邪を引いた時も。全部、かずが助けてくれた。ありがとう。』
そう言うと、かずの手が動いた気がした。
『かず??』
もう一度呼ぶと、今度ははっきりと動くのが分かった。
次の瞬間、かずの目はゆっくり開いた。
『かず。』
そう言うとかずは、こちらを見た。
『分かるか??』
そう言うとかずの口は少し動いた。
『..じ、ん..。』
そう言ってかずは少し笑った。
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