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- K
誰かに呼ばれた気がして、目を開けてみれば、仁が俺の手を握りながら、話しかけてくれていた。
目が覚めてからしばらくすると、医師がやって来て色々と調べていった。
詳しい検査などは、明日以降に行うと行って医師が出ていき、再び俺たちは二人きりになった。
『..仁..。』
『ん??』
『..ちゃんと..戻ってこれた..。』
仁を見ながらそう言うと、仁は俺は手を握ったまま、ニコッと笑った。
『かず。』
『なに??』
『よく頑張ったな。』
そう言われて、俺は泣きそうになった。
『...仁。』
『なに??』
『好き。』
そう伝えると、仁は微笑んだ。
『ありがとう。俺も好きだよ。』
そう言ってくれるだけで、俺は安心した。
俺はゆっくりと仁の手を握った。
仁もそれに答えるように、握り返してくれた。
『もっと一緒に居たいけど、寮の門限があるから帰るな。』
『うん。』
『ゆっくり、休めよ。』
『仁もね。』
そう言うと仁は髪を数回撫でた。
『でも、やっぱりかずが寝たら帰る。』
そう言いながら撫でる手が、すごく心地よかった。
『仁。』
意識が眠りにつきそうな時、俺は仁を呼んだ。
『またね。』
『うん、またね。』
そう返されて、俺は眠りについた。
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