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朝が来て目を開ければ、手に温もりを感じた。 少し身体を起こせば、田口が眠っているのが見えた。 『...田口。』 そう小さく呟けば、田口がモゾモゾと動き始めた。 『...ん。』 田口は身体を起こすと、完全に目が合った。 『おはよう。』 そう言えば田口は微笑んだ。 『おはよう。』 そう言って田口は優しく俺を抱きしめた。 『田口、どうした??』 『かめ、よく頑張ったね。』 そう言われて俺は頷いた。 すると田口は体を離した。 『本当に良かった。』 『まだ、検査をしないとわからないけどね。』 そう言うと田口は、俺をベッドに横にして、俺の手を握った。 『かめなら、大丈夫。』 『なら、いいけど。』 そう言って俺は小さく笑った。 『聖とは、どう??』 『ちゃんと、会ってるよ。』 『そっか。』 そう言うと田口は、手を離した。 『おばさん、こんにちは。』 田口がそう言うと誰かが、近づいてきた。 「田口くん、こんにちは。」 『母さん。』 そう言うと母さんは袋を持ち上げた。 「着替え、入れとくわね。」 そう言って母さんは着替えを入れ替えた。 『ありがとう。』 「和也。」 『なに。』 「退院したら、どうしたい??」 そう聞かれて俺は身体をゆっくりと起こした。 『どうしたいって。』 「和也が居たいって言うなら、反対はしないわ。」 『母さん。』 「住む場所も、自分で決めなさい。」 そう言うと母さんは微笑んだ。 「赤西くんと、離すことはしないから。」 『ありがとう。』 「ちゃんと、考えておきなさい。」 『わかった。』 「また、来るわ。」 そう言って母さんは帰っていった。 『いいお母さんだね。』 『うん。』 そう言って俺はドアを見つめた。 すると田口がこちらを見た。 『これから、聖に会いに行くんだ。もうすぐ、赤西くんも来ると思うよ。』 田口がそう言うと、病室のドアが開いた。 『かず。』 そう言いながら仁が入ってきて、側に来た。 『赤西くんが来たことだし、俺は行くね。』 『ありがとう、田口。』 そう言うと田口はニコッと笑った。 『また来るね。』 そう言って田口は、病室から帰っていった。
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