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かずの病室に行くと田口が居て、俺がかずの側に行くのと同時に、田口は帰っていった。
それから俺は椅子に座り、かずを見た。
『学校は??』
『今日は、テストだったんだ。』
『そっか。』
『起き上がって平気なの??』
『思ったよりも、平気だよ。』
かずはそう言うが、俺は心配でベッドを少し起こした。
『仁。』
『心配だから。』
そう言うとかずは納得したように、ベッドに寄りかかった。
『仁。』
『ん??』
『テストは大丈夫なの??』
そう聞かれて俺は苦笑した。
『それは、頑張るよ。』
『そっか。』
そう言いながらかずは小さく笑った。
それから俺たちは何を話すわけでもなく、ただ二人の時間を過ごした。
『そろそろ、帰った方がいいんじゃない??』
『そうだな。』
『俺は大丈夫だから。』
『分かってる。』
そう言うとかずは俺の手を握った。
『仁。』
『ん??』
『いつになるか、わからないけど。』
『うん。』
『退院したら、海に行こう。』
そう言ってかずは俺を見上げた。
『わかった。退院したら、一緒に行こう。』
『うん。』
かずの返事を聞いてから、俺はかずをベッドに寝かせて、ベッド自体を元に戻した。
『じゃあ、また来る。』
『うん。』
俺はかずの髪を撫でて、病室を出た。
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