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かずが目を覚ましてから、月日はあっという間に過ぎて、季節は夏になっていた。 学校では進学か就職かを決める段階に来て、俺たちは夏休みにも学校に来ていた。 やることがたくさんあって忙しいが、それが終わるとかずに会いに行けるのもあって、俺は必死で頑張った。 そんな今日は、聖とぴぃも一緒にかずの元に来ていた。 ノックをしてから病室のドアを開けた。 けれどベッドにはかずの姿がなかった。 『かめ、どこに行ったんだろ。』 聖の呟きに俺は同意しながら、辺りを見渡した。 『ドアの前に、三人で立ってるなんて、邪魔だな。』 声が聞こえて振り向くと、かずが立っていた。 『かず。』 『いらっしゃい。』 そう言ってかずは、俺とぴぃの間を通って中に入っていった。 『どうぞ、座って。』 そう言いながらかずはベッドに座った。 俺たちはそれぞれ椅子に座り、かずを見た。 『もう歩いて平気なの??』 ぴぃがそう聞くと、かずは頷いた。 『大丈夫。体をひねったらいけないらしいけど。』 『そっか。』 『そうだ、聖。』 『ん??』 聖が返事をすると、かずは引き出しから物を取った。 『これ、田口に渡しといて。』 『わかった。』 『よろしく。』 そう言うとぴぃは立ち上がった。 『さて、俺たちはかめの顔を見たかっただけだから、帰るよ。』 『そうだな。』 そう言って聖も立ち上がった。 『後は二人で。』 『ごゆっくり。』 そう言いながら二人は病室を出ていった。
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