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事故に遭ってから数日が経って、俺は様々な検査を受けた。
動きづらくなった足は、きっと後遺症だと覚悟をした。
そんな時の検査で、俺の頭の中はそのことでいっぱいになった。
検査の結果は予想通りで、事故の影響で左手足に多少、麻痺が残ったと言われた。
そんな宣告を受けても、俺はさほどショックではなかった。
リハビリをしながら、そんな毎日を過ごすと、あっという間に退院の日が来た。
寮に帰るのに、ぴぃと亮チャンが来てくれて、俺のペースに合わせてくれた。
『ねぇ、ぴぃ。』
病院の近くのバス停からバスに乗ってから、俺はぴぃに話しかけた。
『どうかした??』
『かずに会いに行くから、先に帰ってて。』
『だろうね。』
そう言ってぴぃは亮チャンと顔を合わせた。
『仁は、アホやな。』
『は??』
亮チャンにそう言われて、俺は二人を見た。
『このバスは、和也の家の近くが終点なんだよ。』
そう言うとぴぃはボタンを押した。
『和也には、連絡しとく。』
そう言ったぴぃに、俺は自然と笑顔になった。
しばらくするとバスは停まり、ぴぃたちは俺の荷物を持って降りていった。
あっという間にバスは終点を迎え、俺はゆっくりと歩き、バスを降りた。
バス停にはかずが待っていて、俺はかずを抱き締めた。
『ただいま。』
『おかえり。』
そう言われて俺は体を離した。
『さぁ、デートしよ。』
そう言って俺はかずの家に入った。
家の中に入ると、かずのお母さんが出迎えてくれて、俺は笑顔でリビングに入った。
『お邪魔します。』
そう言うとかずがソファーを開けてくれた。
『ありがとう。』
「赤西くん、居たいだけ居てね。」
そう言ってかずのお母さんはリビングを出ていった。
『どこかお出掛け??』
『これから、買い物。』
『そう。』
そう言うとかずが俺の手を握った。
『仁。』
『ん??』
『俺、』
『大丈夫。』
そう言って俺は笑顔を見せた。
『明日から学校なんだけど、終わったら海に行こう。』
『え??』
『ダメ??』
『俺はいいけど。』
そう言われて俺は、かずを抱き締めた。
『決まりだな。』
そう言って俺は立ち上がった。
『じゃあ、明日な。』
そう言って俺は歩き出した。
『バス停まで一緒に行くよ。』
『大丈夫だから。』
そう言って俺は靴を履いた。
『じゃあな。』
そう言って俺はかずの家を出て、バスで寮へと帰った。
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