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海でかずとの約束を果たして、俺たちはそれぞれの目標へ抱き、会えない日々が 続いた。 そんな日々を過ごしている内、卒業の日が来てしまった。 卒業式はなんだか、あっという間で、俺はすぐに寮に向かった。 自分の荷物は、既に整理して段ボールに入れておいた。 俺は自分の部屋を見渡した。 三年前の入学した当時の俺は、まさかこんな風になるなんて、思ってなかっただろう。 ただ、なんとなく過去を引きずり、なんとなく毎日を過ごしていただろう。 『仁。』 そう呼ばれて振り向くと、ぴぃが立っていた。 『そんな所で何やってんだよ。』 そう言ってぴぃは隣に立った。 『いや、今日で卒業だなって思うと、色々と思い出すなぁって思って。』 『そうだな。』 そう言われて俺は段ボールを持ち上げた。 けれどすぐにぴぃに取られて、俺は呆然と立っていた。 『そっちの軽いのを持ってこい。』 そう言って微笑みながら運んでくれるぴぃに、俺は感謝しながら荷物を運んだ。 トラックに荷物を乗せて、俺は寮を見つめた。 『仁。』 『ん??』 『かめには、会わないの??』 ぴぃにそう言われて、俺はぴぃを見つめた。 『向こうに行ってから、連絡する。』 『次は仁が消える番??』 『そんなんじゃない。実際、住む場所のことは、かずに教えてあるし。』 そう言うとぴぃは納得したように頷いた。 『まぁ、頑張りすぎるなよ。』 『あぁ。』 そう言って俺は、呼んであったタクシーに乗り込んだ。 『なぁ、ぴぃ。』 『ん??』 『ありがとうな。』 そう言うとぴぃは微笑んだ。 『こちらこそ、ありがとうな。』 そう言われて俺は微笑んだ。 『じゃあ、またな。』 『おう。』 挨拶を交わして、トラックは走り出した。 その後をタクシーが追いかけ、俺は街を出た。
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