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放課後になり、俺は聖と一緒に玄関へと歩いた。 すると聖が立ち止まり、俺も立ち止まった。 すると、声が聞こえた。 『無理しないで、休めば良かったのに。』 明らかに山下の声だった。 『つまんねぇじゃん。』 そう言ったのは、赤西の声。 『風邪薬飲めって言ったのによ。』 『いつもの薬じゃなきゃ、嫌なんだよ。』 『いつものって、わかんねぇよ。』 そう言いながら、歩いている足音が聞こえて、行ってしまったんだと確認した。 『そういえば、朝から体調悪そうだったな。』 そう言いながら聖は靴を履き替えた。 『...そっか。』 俺はそう言いながら、靴を履き替えた。 そして歩きながら頭の中で、山下と赤西の会話と聖の言葉を考えながら、帰り道を歩いた。 しばらくすると、寮に着いた。 部屋の前に着いて、聖が俺の腕を掴んだ。 振り向くと聖は、心配そうな顔をした。 『聖。そんな顔、すんなよ。』 『まだ顔色、悪い。』 『大丈夫だから。朝、薬飲んだからさ。』 『本当か??』 『大丈夫。』 俺は微笑みながらそう言った。 『今日もまた、聖の部屋に眠りに行くから、待ってて。』 笑いながら俺はそう言った。 『それは、赤西の為か??』 『...。』 俺は、黙ってしまった。 『やっぱり。』 そう言った聖の顔は、少し穏やかで、しかし、複雑そうな表情だった。 『ごめんな。』 聖にそんな表情をさせてしまったことに、俺は申し訳なかった。 『んな顔するな。部屋で待ってるから、絶対に来いよ??』 そう言って聖は俺の髪をぐちゃぐちゃにした。 『おう。』 俺が返事すると、聖は満足そうに部屋へと向かった。 それからもう一度、ドアを見つめ、息をついた。 そしてゆっくりとドアを開けた。
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