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俺は寝転がりながら、ドアを見つめた。
もうここには居ない、亀梨を思い出しながら。
『...忘れてると思ってた。』
俺の言葉にぴぃは反応した。
『亀梨の話、本当なの。』
『あぁ。まさか、覚えてるなんて。』
俺は驚いたようにそう言った。
『ほんまやったんか。』
亮チャンはそう言って座った。
『幼稚園に通ってる頃に、俺はばあちゃんの家に連れていかれたんだ。
その時に隣に住んでたのが、亀梨なんだ。
結構、つるんでたし、俺が体調悪いのを誰よりも先に気付かれてさ。で、ばあちゃんには迷惑掛けたくないって言ったら、家に来いって言われて。』
『そうか。』
亮チャンはそう言って相槌を打ってくれた。
『言葉もあの時のまんま。』
『変わったのは、関係だけやな。』
亮チャンの言葉に俺は何も言えなかった。
『それだけ、あいつが薄情で最低なやつだってことだろ。』
ぴぃはそう言って、俺に布団をかけてくれた。
『あいつはもうお前の親友なんかじゃない。そうだろ??』
俺は何も言えなかったし、何の動作も出来なかった。
『俺には、わかんねぇよ。』
俺の呟きに、ぴぃも亮チャンも何も言わなかった。
何処から俺らは道を分かれてしまったのか、正直、分からなかった。
それを考えていると亮チャンが水を持ってきてくれた。
俺はそれを受け取って、もらった薬を飲んだ。
『なぁ、仁。』
亮チャンは俺を見た。
『俺にもよう分からんけど。でも、さっき仁を見てあの言葉を言った時の亀梨は、少なからず親友の顔やったと思うで。』
そう言われて俺は小さく頷いた。
俺もそう思っていた。
薬のことも俺に言ってくれたあの言葉も。
全てが亀梨に親友の面影を残すものだった。
そう考えていると、薬が効いているのか、いつの間にか眠りについてしまった。
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