03

4/8
前へ
/150ページ
次へ
昼休みが終わり、授業が始まると、俺はさっきのことを思い出した。 ふと、隣を見ると亀梨の姿は無かった。 そして、俺は中丸を思い出した。 あの時の中丸の顔は、真剣だった。 しかし、悲しい目をしていた気がした。 だが、俺の頭の中は中丸よりも聖の言葉が支配した。 "赤西だって、一緒なんじゃねぇのかよ。" この言葉が、何度も繰り返し響いていた。 それと同時に、手が震えた。 止まれと願っていると、誰に手を握られた。 俺は見上げると、ぴぃが俺の手を握っていた。 『...帰るぞ。』 そう言ってぴぃは俺のカバンを持ち、俺の腕を掴んで歩き出した。 俺はぴぃと共に行動した。 靴も履き替えて、歩き出すと校門の前の女が目に入った。 『...ゆい。』 そう呟くとゆいは俺を見た。 『...。』 『誰か待ってるの??』 俺はゆいにそう言った。 すると、ゆいは俯いてしまった。 『亀梨なら居ないよ。』 ぴぃがそう言うと、ゆいは顔を上げた。 それを見てぴぃが歩き出し、俺も歩き出そうとすると、ゆいに腕を掴まれた。 『あの、』 『ゆいちゃん??』 ゆいが何か言いかけた時、歩きながら聖がそう言った。 『聖くん。』 そう言ってゆいは俺の腕から手を離した。 『どうかした??』 『何でもないの。ただ、気になって。』 『かめのこと??』 聖の言葉にゆいは頷いていた。 『ゆいちゃん。』 『わかってる。帰るね。』 そう言ってゆいは、走って帰っていった。 そして何事も無かったように聖は歩き出した。 それを俺らはしばらく見てから、寮に向かった。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

393人が本棚に入れています
本棚に追加