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しばらくそうしていると、聖が口を開いた。 『かめ、辛くない??』 『え??』 『ずっと今のままで、かめは辛くない??』 聖は顔を歪ませてそう言った。 『...聖。』 俺がそう呼ぶと、聖は俯いた。 『聖。これが俺の選んだ道なんだ。』 『...。』 『だから、辛くても大丈夫。』 そう言って微笑むと、聖が俺の頭を撫でた。 『かめは、何も言わないんだな。』 『...聖。』 『そんなに大事なのかよ。赤西のこと。』 『...。』 『ゆいちゃんのこともかめの身体のことも、何も言わないでいられるくらい、赤西が大事か??』 そう言った聖は、今までに見たことがないくらい、心配そうな顔をしていた。 『ごめんな、聖。』 『謝んなよ。』 聖はそう言って、少し笑った。 『でも、いつまでも黙ってられないからな。』 『わかってる。』 『ゆいちゃんも誤解を解きたいって思ってるから。』 『やっぱり。』 俺は天井を見た。 『何を考えてる??』 『なんだと思う??』 『赤西のことだろ。』 そう言うと、聖は俺の頬を突っついた。 『...この4年間、考えない日はなかった。でも、忘れたい日もあった。』 『そっか。』 『...疲れたから、寝るわ。』 そう言って俺は目を瞑った。 『おやすみ。』 そう言ってしばらくして、ドアが閉まる音を聞いて、俺は眠りについた。
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