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玄関を出て、いつも通り帰り道を歩いていると、前に人だかりが見えた。 近づいて見てみると、そこには男に囲まれているゆいちゃんが居た。 『あれって...。』 聖の呟きで確信を得て、俺は人だかりに近づいた。 『その子になんか用??』 俺がそう言うと、全員がこっちを見た。 「誰だ、お前。」 そう言って男が詰め寄ってきた。 『名乗るほどの者じゃねぇよ。』 そう言った俺の態度が気に入らないのか、男は手を握りしめて、振りかざしてきた。 『亀梨くん。』 ゆいちゃんの声が聞こえたが、俺は気にせずに男のパンチをかわし、男を地面に倒した。 『だから、聞いてんじゃん。この子に何の用なんだって。』 そう言うと男の一人が俺を指差した。 「お前、亀梨!!」 男は怯えたようにそう言った。 『なんだ。知ってるんだ。』 そう言って俺は男を離した。 「こいつ、亀梨の女か。」 『いいや。この子は友達。』 「じゃあ、」 『だけど、やめとけよ。こういうのは嫌われる。』 そう言うと男たちは諦めたように去っていった。 『大丈夫??』 俺はゆいちゃんの正面に立った。 『大丈夫。』 『怪我ないみたいで、良かった。』 俺はそう言って微笑んだ。 『また、助けてもらっちゃったね。』 『まぁ。』 『...ゆい。』 俺がそう言った時、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。 それは振り向かなくても、俺は分かってしまった。 『...仁。』 ゆいちゃんの声で、確信して俺は歩き出した。 『ゆいちゃん、亀梨と会ってたんだ。』 山下の声に俺は立ち止まった。 『二人、付き合ってんの??』 『違う。助けてもらっただけだから。』 山下の言葉に、ゆいちゃんはそう言い返した。 『嘘はいいよ。親友から奪いたいほど好きだったんだから、付き合ってて当然だよな。』 山下の言葉に俺は振り向いた。 すると、既に聖が山下に掴みかかっていた。 『てめえ。』 聖の声に俺は急いで二人を離した。 『やめとけ、聖。』 『でも、』 聖が何か言いかけたが、俺は聖を見た。 『...わかったよ。』 聖の返事を聞いて、俺は山下の正面に立った。 『そうだな。親友の彼女を奪い取って赤西を傷つけたもんな。』 俺の言葉に山下はイライラしているように見えた。 『それぐらい分かってんなら、わざわざ俺らに話しかけんなよ。また、赤西が病院に行くはめになるんじゃない??』 そう言ってから俺は聖に合図を送り、歩き出した。 途中、ゆいちゃんと目が合って、アイコンタクトをして、俺は去った。
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