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ゆいのことを見つけて、ぴぃと亀梨のやり取りを黙って見つめた。
そして亀梨たちが去っていって、ゆいと俺らだけが残った。
『本当なのか??亀梨が助けたっていうのは。』
亮チャンがそう言うとゆいは俺らを見た。
『本当のこと。他校の人に絡まれた所を助けてもらっただけ。』
ゆいはそう言って冷静な目をしていた。
『亀梨くんとは付き合ってないし、会ったのは4年ぶり。やましいことはない。』
ゆいの目は嘘をついていない目だった。
『...。』
俺らは何も言えずにいた。
『ねぇ、仁。』
ゆいは俺の正面に立った。
『亀梨くんと和解してないの??』
『...。』
ゆいの言葉に俺は言葉が出なかった。
『亀梨は、』
『仁に聞いてるの。』
ぴぃが何か言いかけたが、ゆいは言わせなかった。
『それは...。』
『ちゃんと話して。じゃないと、私、亀梨くんに合わせる顔がないから。』
ゆいは切なそうにそう言った。
俺はゆいに話しかけようとした時、ぴぃが前に出てきた。
『それ以上は、やめて。』
『...。』
『ゆいちゃん、知ってる??仁はあの日をさかえに、病院に通ってるんだ。』
『え??』
『ぴぃ。』
俺が腕を掴むと、ぴぃはそれを振りほどいた。
『仁はゆいちゃんに優しすぎる。亀梨がゆいちゃんを奪ったけれど、ゆいちゃんにも責任はあるんだ。』
俺を見てそう言って、ぴぃはゆいを見た。
『仁は自分を責めたんだ。親友に裏切られて、恋人を取られて。そんな仁に、亀梨と話せなんて、言わないでほしい。』
ぴぃの言葉を聞いて、ゆいはぴぃの目を見た。
『それでも、話してほしい。
そう思うのは、間違いじゃない。』
『ゆいちゃん。』
ぴぃが声を掛けると、ゆいはぴぃを避けて、もう一度俺の前に立った。
『私の出る幕じゃないとは、わかってるけど。でも、仁はきっと後悔する。仁だけじゃなく、亀梨くんを責める全ての人が。』
『...。』
『ゆいちゃん。』
俺が何も言わない代わりに、ぴぃが名前を呼んだ。
『それは、間違ってる。』
ぴぃがそう言うと、ゆいはぴぃを見た。
『傷ついてるのが、仁だけじゃなかったらどうするの??山下くんの言った一言で、これまでずっと傷ついてて言えずにいる人が居たら??』
『...。』
『...話して。ちゃんと、亀梨くんと話して。』
そう言ってゆいは走って去っていった。
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