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校門を出て、左右を確認すると、左側に赤西の姿が見えた。 俺はその姿を見ながら、赤西の後を追うと、意外にも赤西の歩くスピードが遅く、あっという間に追い付いた。 声を掛けようとした時、赤西の体が傾いた。 それを見て、俺はとっさに手を伸ばして受け止めた。 すると、赤西は脂汗をかいていて、首元を押さえていた。 『これ...。』 俺はそう呟いて、赤西のカバンを開けた。 そして中を探って、紙袋を見つけた。 俺は紙袋を赤西の口元に持っていき、ネクタイを緩めた。 『ゆっくり呼吸しろ。』 そう言って赤西の体を支えながら、片方の手で背中を摩った。 しばらくすると、赤西の呼吸は安定してきて、俺は口元の紙袋をゆっくり外した。 すると赤西と目が合った。 『..かめ、なし..。』 『喋るな。』 俺はそう言って赤西のカバンと俺のカバンを持って、赤西の体を支えて立ち上がった。 それから俺らの間には会話は無く、寮までお互いに黙って歩き出した。 寮に到着して、すぐに部屋に向かった。 赤西を椅子に座らせて、俺は赤西の着替えを用意した。 『着替えて、寝ろ。』 俺はそう言って、カバンを机に置いて着替えを始めた。 『...亀梨。』 『なんだよ。』 『なんで、助けてくれたんだよ。』 そう言われて俺は赤西を見た。 『それに、』 『思い出したから。赤西とのこと。』 『...。』 『しんどいだろ。早く休めば。』 俺は着替えを済ませて、部屋を出た。
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