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部屋を出た俺は、寮の庭に出た。
芝生の上に寝転がり、俺は空を見た。
『雲、一つないんだよな。』
そう呟いて俺は目を瞑った。
どれぐらい居たのか、いつの間にか眠っていた。
目を開けると、上着がかけられていて、俺は横を見た。
そこには座ったままの中丸が居た。
『中丸。』
『こんな所に寝てたら、ダメだぞ。』
中丸は情けない顔になっていった。
『悪い。』
そう言って俺は起き上がった。
『あのさ。』
中丸は俺を見ながらそう言った。
『なに??』
『赤西と帰ったんだって??』
『...。』
俺は正面を見た。
『何かあった??』
『別に。』
『か-め。』
中丸のその言い方に、俺は弱かった。
『ただ、様子が変だったから。だから、後を追っただけ。』
『そうなんだ。』
『もういいだろ。』
そう言って中丸に上着を返して立ち上がると、中丸に腕を掴まれた。
『かめ。』
『なに??』
『俺らは後悔してる。あの時、ちゃんと俺らが、』
『やめろ。』
俺は中丸の言葉を遮った。
『でも、』
『いいんだ。』
『...。』
『それに、俺も近寄り過ぎたと思ってる。』
『かめ。』
『最近、近くに居すぎて。あの時、決めたのにな。』
俺は中丸を見ながら苦笑した。
『かめ、良いんだよ。仲良くしたって。』
『中丸。』
『無理に離れようとするなよ。』
中丸はすごく切なそうな顔をしていた。
『同じ傷をつけるなら、離れようと無理矢理やるよりも自然に任せた方が、正しかったと思う。』
『...。』
俺は何も言わずに、歩き出して庭を出た。
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