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- A
夢を見た。
それは、中学の時の自分だった。
隣には今は居ない、親友の姿。
- 「お前と俺は、元々親友なんかじゃねぇ。利用してたのを気付けよ。」
そう言って親友が消えていく。
そして、俺が親友の名前を呼ぼうとした時、俺は夢から覚めた。
『...っはぁ..はぁ..はぁ..。』
顔には汗がじわりとかいていた。
『おい、仁。』
そう呼ばれてそちらを見た。
『...ぴぃ。』
そこに居たのは、小学校の時から友達の山下だった。
『大丈夫かよ。うなされてたけど。』
『あぁ、大丈夫。』
俺はそう言って、ベッドから降りた。
それから、寮長による点呼が始まって、俺は部屋の外に出た。
『赤西です。』
「よし。」
そう言われて中に入ろうとした時、呼び止められた。
「赤西。」
『あ、はい。』
「お前の部屋は、二人部屋だよな??」
『そうです。』
「今日から新しい奴が来るんだ。赤西と同室で構わないな??」
『はい。』
俺がそう返事をすると、寮長は満足そうに帰っていった。
それから、俺は制服に着替えて、カバンを持って部屋を出た。
俺が住んでるここは、許可制の寮。
この寮は、一人部屋と二人部屋に分かれている。
『仁。』
廊下を歩いていた俺に声を掛けてきたのは、ぴぃ。
その隣には、また人が居た。
『ぴぃに亮チャン。』
『おはようさん。』
『亮チャン、朝からテンション高い。』
『お前が低すぎなんや。』
そう言って歩き出す亮チャンに、俺とぴぃは付いていった。
すると食堂の前で、亮チャンが立ち止まった。
『どうかした??』
そう問いながら俺は、亮チャンの前に出た。
『...。』
そこには、三人の人物が居た。
『あ。』
三人の内の一人が俺を見て、そう呟いた。
俺は歩き出して、そいつの前に立った。
『..なんだよ、聖。』
『いや、別に。』
聖は睨みを効かして、軽くそう言った。
『上田、中丸。行くぞ。』
聖はそう言って歩き出すと、すぐに上田が付いていった。
そして、中丸は俺を見た。
『なんだよ。』
『...。』
俺を見つめながら、何も言わずに中丸は、聖の後を追っていった。
それから、意味も分からずに俺は、おばちゃんから弁当を受け取って、ぴぃたちと共に寮を出た。
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