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- K
庭を出てすぐに、俺は中丸と上田の部屋に直行した。
中に入れてもらい、俺はいつもの場所に座った。
『何かあった??』
中丸は心配そうに、俺を見た。
『いや。何もない。』
『そう??』
『あぁ。』
俺がそう答えると、それから中丸は何も聞いてこなかった。
夕方までそうして過ごし、久しぶりに食堂で聖と合流して夕食を食べた。
食事を済ませて、俺は一人で部屋に戻った。
ドアを開けて中に入り、俺はベッドに寝転がった。
すると足音が聞こえ、視界に聖の顔が映った。
『...なに??』
『中丸が行ってやれって。』
そう言って聖は座った。
『中丸が心配そうに言ってたぜ??かめが何か辛そうだって。』
『...そう。』
俺はそう言いながら身体を起こした。
『言ってみろよ。』
聖の真剣な目に俺は負けて、口を開いた。
『聞かれたんだ。運動会とかいつも居なかったよなって。』
『....赤西に??』
そう言われて俺は頷いた。
『俺はいつも誤魔化してた。じいちゃんの見舞いに行くとか言って。だから、正直今さら聞かれるなんて、思いもしなくてさ。』
『言ったのか??本当のこと。』
『言ってない。ってか小学の時から、言わないって決めたんだ。』
そう言うと聖は黙った。
だが、聖はすぐに口を開いた。
『言わないのは、誰のためだ。』
『...。』
『かめ。お前は何もかも言わないつもりなのか??』
『...。』
俺は何も答えられなかった。
『かめは俺らにも何か隠してるだろ??』
『...聖。』
『前から思ってた。でも、問い詰めてまで聞きたいわけじゃない。』
『...。』
『俺らはただ、さみしいだけ。』
聖の目が、悲しみに染まっていた。
『かめが今回、補欠として出るのは、譲る。でも、頼むから無茶はするな。』
聖はそう言って俺の頭を撫でて立ち上がった。
『俺、部屋に戻って寝るわ。』
『あぁ。』
『じゃあな。』
そう言って聖は部屋を出ていった。
俺はベッドにもう一度、寝転がった。
そして、何も考えずに眠りについた。
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